〈ギフギフト・303 milesについて〉
(岩間智紀/森内一生 二人展「ハッピー・ニュー・岩ァー 2023」展 目録より抜粋)
(岩間智紀/森内一生 二人展「ハッピー・ニュー・岩ァー 2023」展 目録より抜粋)
森内の興味の発端は、東京と岐阜の人間が京都で再開したことを契機に二人展をすることになった、その経緯そのものにあった。この距離感を利用し、楽しむことが作品のコンセプトの根幹にある。
制作を進めるうちに岩間は「ギフギフトは空間やスケールの超越の作品になりそうである」と語った。不動の象徴たる岩は、梱包され高速道路を経由し、超スピードで東京まで移動する。そして自然風景の一要素である岩は、プロジェクターにより、出生地である岐阜の風景を投影される。風景の要素に過ぎない岩の中に風景が内包され、包含関係が逆転する。
しかしその岩を顕微鏡で覗いてみると、そこにあるのは岩の構成要素である鉱物の集まりでしかない。空間を超越しているにかかわらず、包含関係を覆し自分よりも大きな風景を取り込んだにもかかわらず、そこにあるのは岩肌であり、岩でしかない。
東京岐阜間の空間の超越、その先でありありと岩の正体を暴くことで、森内と岩間は岩を通じたコミュニケーションを目論んでいる。
2022年12月 森内執筆